忘れないように備忘録。
無財の七施(思いやりの心も布施)
布施というとお坊さんに渡す「お布施」だけを連想される方が多いと思いますが、それは布施の中でも「財施」と言われるものです。布施にはその他に「法施」もあります。法話も「法施」の一つです。法事の後、法話をしないお坊さんもいるようです。好意的に考えれば読経によって「法施」をしていると言えますが、「財施」に対しては法話をしてこそ「法施」と言えるのではないでしょうか。
財施、法施以外にも無財の七施というものがあります。それは次のようなものです
1 眼がん 施せ:優しいまなざしで接すること
2 和顔施わげんせ:笑顔で接すること
3 愛語施あいごせ:優しい言葉、思いやりのある言葉を交わすこと
4 身しん 施せ:自分の身体を使って奉仕をすること
5 心しん 施せ:他人のために心をくばること
6 牀座施しょうざせ:たとえば電車の中で喜んで席を譲る行為。
7 房舎施ぼうしゃせ:風や雨露をしのぐ所を与えること
すべて、「他人を思いやる心」を表情や、ことばや行いで実行することです。
簡単そうで難しい和願施
無財の七施については他のホームページの法話欄にもいろいろと載っていますので、詳しくはそちらも参考になさってください。無財の七施の中で私が好きなものは「和顔施」です。笑顔で人に接するという簡単なことが他人への贈り物であるというのは、深い智恵に裏付けられたことばだと思います。
しかしながら、私たちはともすると笑顔で接するとしても、「相手(の出方)次第」と考えてはいないでしょうか。「きのうけんかをしたので、向こうが謝ったら笑顔で挨拶しよう」とか、「難しそうな顔をしている人だから、とりあえず挨拶だけしておこう」とか「笑顔で接したのに、その甲斐がなかったらどうしようか」などと考えないでしょうか。私は、恥ずかしながらそう考えてしまうことがあります。「施して報いを求めず」ということは「笑顔」一つとっても簡単なようで難しいことです。